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理事長 藤井 冨生
1.すみれ学級開設の動機
飽食の時代と言われて久しい今日の日本で、自己責任の全くない子どもたちが「食べることに困窮している」という状況を深く憂え、
日本の未来を担う子どもたちの「食事」を確保し、「教育格差」が負の連鎖とならないように学習を支援し、児童・生徒の健全な成長を図るために、すみれ学級を開設しました。
子供の貧困率は13.9%(2015年)で計算すると、全国で約135万人、大分県では約1万2千人に及ぶ児童・生徒に対し、すみれ学級はあまりに無力です。
(児童・生徒数 出所:文部科学省 平成30年度学校基本調査 2018年5月1日現在)
けれども、子どもたちの貧困をなくす支点になろうと努力してきました。
古代ギリシャのアルキメデスは、「我に支点を与えよ。されば地球を移して見せる」といったそうです。
皆さん、力を合わせて、大分県下に子どもの貧困をなくす支点をたくさん作りましょう。
2.すみれ学級の当初の主目的
このすみれ学級という子供食堂に食の支援を必要とする子どもたちが気兼ねなく来られるためにどうしたらいいかという議論をしました。
世間の多くには、「貧乏は悪いこと」「子ども食堂に行く子どもは、満足にご飯も食べられない家庭」ということで、それが、何か社会的に、また道徳的に悪いという偏見があります。
これを排除して、子どもたちが気兼ねなく来られるために、「宿題」すなわち「学習支援」も行うことにしたのです。
全員受け入れることによって、確かに食を必要としない子どもも来ていることがアンケート結果からわかりますが、本当に食を必要とうる子どもが気兼ねなく来られるためには、全員受け入れることが絶対条件なのです。
3.子どもたちの家庭環境と学習指導について
一般的な家庭、貧困層でない保護者を持つ子どもは、夕食は「家庭」で食べています。また、宿題も母や父からの指導を受けています。
そうしたことが困難で、家に帰っても誰もおらず、宿題の面倒もみてもらえない子どものために「育成クラブ」が用意されています。
「育成クラブ」に行ける子どもは、「保護者の収入」「家庭環境」等を審査され、条件を満たした児童のみです。費用負担もあります。そのうえで「食事の提供はない」のです。
すみれ学級は、こうした行政のセーフティーネットにかからない子どものためにあります。
すみれ学級に来る子どもの動機は様々です。保護者がそれなりの収入を得て「食」を必要としない子どももいるでしょうが、それを知る術をすみれ学級はもちません。
収入的には安定していても、家庭的には不安定で、すみれ学級に居場所を求めてきている子どももいるでしょう。
食事に関して言えば、すみれ学級の食事状況をみれば、ある程度わかります。小学低学年の児童が、夕食、朝食のお代わりを最低2回はします。このことから、お腹いっぱい食べていないという現状がみえます。
小学校の校長先生が、自治会長さんに「すみれ学級ができて、朝食を提供し始めてから不登校の子が少なくなった。是非継続してほしい」と要望してきました。
中学2年生の男子生徒は、校長先生から「これからは、ここ
(
すみれ学級
)
に行きなさい」と勧められたそうです。この生徒は母親の再婚等のため情緒不安定で、不登校でした。
生徒は、すみれ学級に2年間通い、不登校が是正され、良く勉強するようになり、今年公立高校に無事入学しました。
4.格差社会の固定化、言葉を変えて言えば、貧困階級が日本に形成されている
食の貧困は、同時に教育の貧困と同義語です。
前述したように、満足に食べられない子どもは、満足な家庭教育、家庭での学習指導も行われていません。
大分県の母子家庭の就労収入は100万円未満が34.4%で最も多く、200万円未満が77%を占めています。
(『大分県ひとり親家庭等自律促進計画 第3次計画』平成27年3月)
東大生の親の6割以上は年収950万円以上という統計があります。
(ニューズウィーク日本版、舞田敏彦、
2018.9.5
)
6歳から15歳の児童・生徒の貧困数は、約135万人に及びます。この135万人が、恒常的に再生産される経済体制になっているということです。
子どもの将来は、子どもが生まれた家庭環境により決定されているというのが現状です。
この現状は、格差社会、貧困の連鎖という表現ではなく、「新階級」「新身分制度」とでも表現する以外ありません。
2019年、1億2千万人で世界第3位の
GDP
を誇る日本に、「新階級」「新身分制度」ができているという現状には、悲しいというより空恐ろしさを感じます。
なぜそういうことになったのか、どうすれば解決するのか、知性の力に頼る以外ありません。
5.貧困政策 ~ニューヨーク市・スコットランド
ニューヨーク市では、義務教育年齢にあたる4歳~18歳の子どもたち全員に、市から無料の朝食が提供されています。
学校のカフェテリアが始業時間前に開放され、朝食を食べたい子どもは早目に学校に行って食べるそうです。
(ダイアモンドオンライン、みわ よしこ、
2019.2.15
)
スコットランドでは、中学・高校・大学に通う女子生徒の4人に1人が生理用品の入手が困難なほどの貧困といいます。
スコットランド政府は、2018年9月から大学を含む国内の学校に通う女子生徒全員に生理用品を無料で提供を始めました。
(ニューズウィーク日本版、松丸さとみ、
2018.9.4
)
日本でもコンビニで小学4年生の女子児童が生理用品を万引きして補導されたそうです。こうした事例は数多くあると、筑紫女学園大学の准教授は言っております。
すみれ学級は、ことの緊急性と深刻性から、昨年11月より小学4年以上の女子児童に無料で生理用品の配布を始めました。
翌月からは
G-Place
(「ナチュラルムーン」ブランド)より生理用品の寄贈をしていただいています。
6.物資は豊かにあるのに、食に事欠く貧困が発生するという問題
この問題の解決のためには何をしたらよいのでしょうか。こうした社会現象は、予期せぬ自然災害により受ける被害と同じでしょうか。
いや、そうではありません。
この社会は、私たち人間が作り出しているのであり、こうした貧困は我々が作り出しているのであり、問題を解決する力は、社会を構成している私たち人間にあるといえます。
フランスの実存主義を唱える哲学者ジャン=ポール・サルトルは、その著書『実存主義とは何か』で「飢えた子どもに対し哲学(知性)は、無力である。」と言っています。
サルトルは、「知性・哲学は、飢えている人間には、役に立たない。所詮、思弁的なものは、人間精神の香料に過ぎない」と言っているのでしょうか?
いや、そうではないと思います。サルトルは、「哲学(知性)は、力を持たなければならない。問題をはっきりさせ、解決の方法を指し示せば、人々を獲得できる。
そのときはじめて、知性は力を持つことができる」と言っているのです。
7.すみれ学級には、新たな世界があります
知性の出発点は、人間的感性です。
すみれ学級には、皆さんがこれまでに経験したことのない世界があります。
人間的感性に裏打ちされない知性は、長続きしません。
知性が、人間的感性を呼び覚まし、絶えず生き生きとした感性を産み出し、生き生きとした感性が、新たな知性を呼び起こすという関係にあります。
そういう意味において、すみれ学級には、世界を解き明かす出発点があるといえるのではないでしょうか。
大分大学経済学部オリエンテーション資料
2019
年
4
月
19
日