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大分大学経済学部 オリエンテーション 2019年4月19日
「すみれ学級1組の振り返りと現状 ~学習指導の立場から」
学習指導員(大分大学 経営システム学科4年(当時)) 植田尚幸

自己紹介
1年次よりすみれ学級を中心に子ども食堂に関わり、あっというまに学生生活最後の年になりました。
体験学習でみなさんの様子をカメラに撮ったり、中間や最終発表でアイデアを出したりと
結構頻繁に現れる予定です。

学習指導員の状況
大分大学経済学部(1回につき4~7名が勤務)
4年生4名(男3女1) 2年生6名(男2女4)
専門学校生1名(女) 社会人2名(男)

子どもの人数
新年度になり、最近は小学生(4~6年)が3~8人で曜日によってはばらつきがみられます。
中学生はほぼ3年生で多い時には8人。小、中ともに男子が多いです。
敷戸小学校と稙田東中学校の子供がほとんどです。

過ごし方の目安
小学生
    17:00~18:05 勉強時間(公民館)
    18:15~18:35 食事(1階)
    18:35~20:00 自由時間(公民館) ※公民館は歩いて1分
中学生
    17:00~18:50 勉強時間(2階)
    18:55~19:30 食事(1階)
    19:30~20:00 勉強時間(1階)
入室後、受付表に名前を書いて、「今日の目標」を各自で考えて書きます。
食事までは勉強の時間です。
食事の準備(コップとお箸)と片付け(台拭き)は、子どもがします。
小学生の自由時間は宿題や読書、トランプなどのゲームをしています。
部屋の仕切りがなく勉強も遊びも一緒の空間のため、それぞれの対応が大事になってきます。

学習指導の仕事や役割
成績をあげることが主たる目的ではないが、「勉強をするところ」として定着させること、
勉強面で「わかった」「楽しい」と感じてもらうことが学習指導の役割と思っています。
楽しく勉強し、一緒に食事をすることも大事ですが、突然けんかしたり、
勉強に集中できず遊び出したりで生活指導の割合も大きいです。
一回だけでは言うことを聞いてくれないので何回も全員で注意することを心がけています。

どもたちとの関わり方、大変だったこと
正解がないので常に試行錯誤してます。立場上は「先生」ですが、友達のように教えられる事が大学生の魅力です。
一方で怒ったり、導いたりと友達感覚ではできない局面もあり、難しく感じる時もあります。
すみれ学級に来る子どもたちは様々です。平等に接しながらも個別な対応が求められる時もあります。
気分も日により異なり、ハイテンションだったり、学校であった事を引きずってネガティブだったりと左右されながら子どもたちと向き合っています。

■大変だったエピソード
勉強してくれない
学校の先生も諦めて宿題が出されない子どもがいます。
粘り強く向き合うことと楽しく勉強してもらうにはどうするかを一人ひとりが考える機会になっています。
「すみれ道場」という取り組みでは解いたプリントの枚数でポイントを貯めてお菓子と交換するシステムをつくり、
子どもたちと勉強を結びつける第一ステップとしての機能を担っています。

勉強が理解できない
子どもそれぞれ習熟度が違うのはもちろん、学習障害を持っているというケースもあります。
大学生は根気よく、きめ細やかな指導を限られた時間内で行う必要があります。
各自問題を手作りしたり、テストしたり、わからないところのフォローを行っています。

情緒不安定、人間関係につまずく、コミュニケーションがとれない
勉強時間に騒ぎ出す、仲良く遊べない、独り占めしてしまう、仲良く遊ぼうにもわからず悪口言ったり、
からかったりしてしまう子どももいます。その時々で注意するしか対策はなく道徳的な指導も学習指導員の担う役目です。

支援の範囲はどこまで
学習指導員として介入できない部分もあります。問題意識として少しだけでも捉えてください。
ひとりで帰れない
  家に帰っても一人だけという不安。電気が止められている時もある。
自分だけで留守番
  他の家族は週末旅行だけど自分だけ留守番をまかされる。ご飯はどうするのかな。
汚れた靴、靴下
白い靴下だけど使い続けて下部分は灰色。選択しないのか服が臭う時もある。

実例であり、実際に必要としている子ども、家庭がいるのは事実です。
現時点で子供を救えてないわけではないのですが、さらに本当に支援が必要な人に支援の手が行き渡るにはどうすべきか、
企業や行政、学生が出来ることに何があるのか?体験学習で知見を深めてもらいたいと思っています。

■子どもと関わる際に考えるヒント
子どもを見る
(全員と友達になるつもり、全員の先生になるつもり)
子どもを会話で知ること、出来たら褒めること、たくさん認めること。多分距離感が縮む。

フィールドを観察しよう
雰囲気や過ごし方、遊びから子供の表情や言動とその居場所を担う機能を照らして欲しい。

子どもの背景を感じ取ろう
誰と来てるか(親?、兄弟?、友達?)や利用頻度(毎回?たまに?)、利用動機など。
子ども同士の会話から家庭環境も分かる時があります。背景は感じるだけでいいです。
■おわりに
こうでなければならないという正解は子ども食堂の運営でも、子どもとの関わりでもないものです。
先入観にとらわれず、自分らしく伸び伸びとやってもらえればと思います。体験実習でお待ちしております。